神がサイコロを振らずとも
神がサイコロを振らずとも
僕らは常に誰かが振った賽の下敷きになっている
今日があんまり幸せだったから
ここで死んでも悔いはない
そう思って我に返る
生き死にの選択がこんなにも手の届くところに転がっている
今無垢なものが溢れるように笑ったあの子は昨日
学校で筆箱を隠されていたかもしれない
両手で隠すように涙を流していたあの子は今朝
愛する人の腕の中で目覚めたかもしれない
選択の結果が君の前にある
ただ、選択したのが君とは限らない
理不尽ではない
僕らは確率の書かれた紙の上で踊っているに過ぎない
そしてそれに一喜一憂することを
誰かの振った賽の目に翻弄されることを
自分の選んだ番号が呼ばれるのを待つことを
僕らは「生きる」とそう呼んでいる