Yodaka Star Track

4月と呪いと1.0

公開日:2022年04月30日

個人

4月と呪いと1.0

4月

一生懸命生きていたら4月が終わりそうで、花の咲かない僕の人生に桜が散ることはない。 最近はと言えば調子が良くなったのか躁状態なのかもうわからないが、とにかく悪くない。 仕事は順調でVueを3系にアップデートするというドデカいリリースが終わり、予約管理系のとてつもなく重い設計も終わって実装に入れそうというところだ。 今月はヨルシカのライブがあり、amazarashiの新譜が出て、phperkaigiに行っていろんなエンジニアと話して僕はとても幸せだった。 消えたい消えたいと言いながらそうやって楽しく日常を過ごしたり、税理士と話をしたり、お金や将来のことを考える自分がいてとても滑稽に思う時がある。 死にたいわけではない。ただ、消えてなくなりたいという気持ちがずっとある。 この世界は僕にとって面倒なことばかりで、うまくいかないと人に迷惑をかけてしまう。 それが耐えられないとあの子は言っていたが、今はその気持ちが痛いほどわかる。 生きている意味なんてないのに、他人に迷惑をかけてまで図々しく生きていることが耐えられないんだ。 去年のクリスマスイブに僕は確かに死んでしまった。 今生きているのは完全に惰性で、そして生まれ変わった僕だ。 なんにも生きてる意味のない、燃え尽きたいだけで走り続けている汽車だ。 そもそも生きてる意味なんてのは誰にだってない。わかってる。 そんなのがあってそれが達成されたら死ぬしかなくなってしまうからね。 だからそう、僕は意味を見つけてしまったんだ。 あの子と出会ってあの子を幸せにするために僕は生まれて、ここまで生きてきたんだって。 読んできた本や、遭ってきた憂き目や、聴いてきた音楽や、観てきた映画が全てあの子と話すためにあったんだって。 ダンスダンスダンスでディックノースはこう言った。

「アメに最初に会った時、彼女にどうしようもなく引き寄せられたんです。渦のようにです。抵抗のしようもなかったんです。僕にはわかったんです。これは一生に一度のことなんだって。こういう巡り合いというのは一生に一度しかないことなんだって。そういうのってね、わかるんですよ、ちゃんと。で、僕は思いました。この人と一緒になったらたぶん僕はいつか後悔することになるだろう。でも一緒にならなかったら、僕の存在そのものが意味を失うことになるって。あなたはこれまでに、そういう風に思ったことあります?」

あの子には問題があって、後悔するとわかっていても、僕にはどうすることもできなかった。 そういうことが人生で本当にあると思わなかった。 あの子が死ぬって言って僕は本当にそれを信じたし、それでも愛したし、救おうとした。 でも僕には救えなかった。 呪術廻戦で五条悟はこう言った。

「俺が救えるのは他人に救われる準備がある奴だけだ」

他人に救われる準備がない人を救うことはできない。 だから僕は最後にあの子にこう言った。 「あなたの問題なんです。僕はあなたに全部伝えて答えを出しました。それを受け入れるかどうかはあなたの問題で、僕にはどうすることもできない。」 結局最後まであの子はどっちつかずで、「またあなたに連絡してしまうかもしれない」と言って僕を傷つけないようにしていた。 その優しさがとても残酷で僕には呪いだった。 僕にとって春は呪いの季節である。

呪い

誰かが誰かに心を託すこと。 それが呪いだと僕は思う。 たとえば「生きて欲しい」という言葉も、「死んで欲しい」という言葉も、どちらも呪いだ。 前者は正の呪いで、後者は負の呪いと僕は呼んでいる。 正の呪いは悪意のない呪いだ。 呪っている本人は、大体自分が呪いをかけていることに気づいていない場合が多い。 僕の人生には正の呪いが多い。 例えば僕にとって特別な女の子が「あなたのことが好き」というだけでそれは簡単に呪いになる。 すぐにではない。その子を失った時に、呪いになるのである。 失った僕は毎日考える。 好きと言ってくれたあれは本当だったのか、嘘だったのか。 どうしたらあの子を取り戻せるのか。 どうしたらもう何も大事なものを失わずに済むのか。 それらは思い出なんて綺麗なもんじゃない。 未練なんて簡単な言葉じゃない。 後悔なんてしない。 考えても仕方のないことばかりを考えるようになってしまう様は、やはり「呪い」と言って差し支えないだろうと思う。 僕の人生は本当に喪失ばかりで、だから簡単に呪いが増える。 毎年のように大事なものが出来て、失われていく。 呪いにも有効期間がある。 でも永遠に続くようにさえ思える。 それが呪いなんだ。 そしてもちろん僕だって誰かに呪いをかけながら生きてるはずだ。 でも僕は誰かを呪えるような、印象的な人間ではない。 たくさん努力してやっと人並みに物事を為し、未だに人のことがわからず、上面だけで生きている。 こんなブログをなんとか書いて、自分が何を思ってるのか、今どこにいるのかをちゃんと把握しないと、この社会の中で自分が自分でなくなってしまうような気がしてしまう。 そんな僕が誰かにかけられる呪いなんてない。 誰かの特別な人になれるわけがない。 だから僕はせめて、特別な人に全身全霊で向き合う。 本気で呪おうとする。 後悔のないように、思っていることを僕の持ちうる全てを使って伝える。 願わくば、最後にあなたにとって特別な人になれますようにと。

1.0

amazarashiの1.0を聴いて欲しい。

あなたへ 僕は、あなたにとって特別な人になれましたか。 傷つけるばかりではなくて、あなたの暗い夜を一つでも照らすことが出来ましたか。 終わってしまった後も、思い出してしまうようなあなたにとっての「1」に僕はなりたかった。 自分のことばっかりで本当嫌になるよ。 あなたのことを書くのはこれで最後にするけれど、僕にとってあなたは人生の意味を教えてくれた「1」でした。 希望と呼べる「1」でした。 あなたに会えたことで、今までの人生が報われた気がした。 後ろ指差されて笑われて何もうまくいかなくて、終わりの見えない暗い夜道で。 でもいつか報われるんじゃないかって。 そのいつかをくれたのがあなたで。 あなたに好きだと言われただけで、僕は生きてて良かったんだって。 どんな苦しい思い出も全て正解に変わった。 あなたが僕のオセロの最後の一手を打って、全部ひっくり返してくれたんだ。 そして僕の人生は終わった。 今となってはこれで良かったんだって思う。 終わりがあるから美しい。 さよならがあるから惹かれる。 あなたは僕の人生の最後の「1」だったんだ。 あなたにしかわからない痛みがあるなら消えてしまってもいいと思うよ。 それを止める権利は僕にはない。 でもあなたが去り際に思い出すのが僕じゃなくても良いけど、幸せな光景だといいなと思う。 嘘だよ。本当は僕のことも少しは思い出して欲しい。 生きるというなら僕はそれはそれは嬉しい。 とにかく幸せになってくれたら、苦しい思いをしないでくれたらそれでいいんだ。 あなたにとっての「1」は僕じゃなかったかもしれない。 でも、あなたにとっての「1」が見つかりますように。 見つかりますように。