Yodaka Star Track

27歳

公開日:2023年09月06日

個人

27歳

「死ぬのなら」と決めていた27歳になってしまった。 なった途端に僕の心身は異常をきたし、過呼吸で救急車に運ばれ、凄まじい肌荒れを起こし、処方された薬を飲んだら蕁麻疹が出て、あんなに大好きだったコーヒーも飲むと吐き気がするので飲めなくなってしまった。 本当にこのまま27で死ぬのかもしれない。 死ぬとか生きるとかを僕は考えすぎている。 僕にはただ、何も考えずに、生きるということが出来ない。 それは辛いことが起きすぎたからで、もちろんその辛いことというのは世間一般から見れば本当に大したことのないことではあるのだけれど、それでも。 だが、僕がそう悪くないエンジニアであると自負しているのはそういう点があるからでもある。 悲観主義、デカダンス、厭世家、一方で諦念、されど自傷行為としての思考過多。 たとえば僕という人間を表すときに、水のなみなみ入ったバケツを用意する。 そのバケツを少し傾けて水がこぼれても大抵の人は、「まだ水がこんなにもある」と言うだろう。 だが僕は「あぁ水が零れてしまった。もうだめだ。」と言う。 そんな人間なのだ。 今持っているものよりも、あの時失ったものの方に心惹かれる。 し、執着する。 生きている意味などずっとない。 ただ僕は村上春樹のダンスダンスダンスよろしく踊り続けている。 朝の匂いが好きだ。 家族で山中の旅館に一泊した時に、少し早起きしてしまった。 まだ幼い僕は、もっと幼い弟と、運転で疲れて寝ている父と、僕らの世話で疲れている母を起こさぬように布団を抜け出し、そっと窓際へ近づく。 僕の吐く息で少し白くなった冷たい窓に手をかけ、少しだけゆっくりと開けると木々と冷たい空気の匂いがする。 時間はあそこで止まるべきだったのだ。 なぁこんな文章に何の意味がある? これを読んでいる君も、これを書いている僕もどうやら少しおかしいらしい。 いや、世の中には狂っていない人間などいない。 明日も明後日も似たような生活の繰り返しで結局何者にも成れず、何事も為せず終わっていくのだ。 でもそれが僕の物語であるし、君にも君の物語があるはずだ。 こうやって文字に起こされなくても。 それぞれに物語はある。 なぁそろそろ朝かもしれないな。 別に誰かとどこかに旅行に行かなくたって、平等に朝はやってきて空気を吸えるんだな。 知らなかったよ。